ある日、良寛は寺泊にある家に招かれ、日暮れ時に訪ねた。すると、夫婦喧嘩の真っ最中で、尋常な騒ぎではなかった。そこで良寛は何も言わず、こそこそと一人で勝手に部屋で寝てしまった。しかし、翌朝になると、夫婦は何事もなかったように機嫌も直り、夫婦二人顔を見合わせながら、笑顔で良寛をもてなした。良寛はこの様子を見て一聯書き残して帰って行った。内容はこう書かれていた「昨夜、窓の外は雨風が強く、海棠の花を根元から倒してしまった。」というものだが、海棠の花とは(美人な女性)との形容の意味にも使われるので、あとは昨晩、夫婦の間に何があったかは察していただきたい。この句は今も残る。分かりやすく現代風に訳してみた。いつの世も(夫婦喧嘩は犬も食わぬ。)とはよく言ったものですね。(写真が海棠の花です。)
「夫婦喧嘩に一聯」
更新日:2021年4月4日
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