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『一朱銀一枚』

  • 執筆者の写真: 橋元雄二
    橋元雄二
  • 7月2日
  • 読了時間: 1分

更新日:7月4日


ある年の暮のことである。良寛は出雲崎の生家山本家へ、「近頃、金がたまり、山住まいの身には不用心で困るので、入用ならば使いの者を寄こすように」という手紙を出した。当時、山本家にはお金の余裕なんてなかったため、これは幸いと,さつそく使者に重箱を持たせて使いにやった。使いの者が来ると、良寛は、その重箱を棚に上げ、別室へ入り、そのまま出てこない。待ちくたびれて退屈な使いは、かねて用意の握り飯を食べたり,欠伸をしたりして待つていたがとうとう日が暮れそうになってきたので良寛様そろそろ帰ります「お金を預かってくるように言われたのですが「おおそうだった、そうだった』懐中から四方が包まれたものを見てこれは百両包みであろうと見つめていると良寛はその包みをほぐしにほぐして長い時間をかけて出して来たのは一朱銀一枚であった。その一朱銀を使いに渡し「大切にして,紛失しないように持ち帰りなさい」と言った。使いの者は唖然とするばかりで、早々に出雲崎へ帰ったという。この一朱銀は今の価値でいうと3000円程の価値で弟の(ゆうし)はもっと貰えると期待してたのだろう。良寛はあえて弟の(ゆうし)に「お金がないなりに見栄を張らずに慎ましく生きなさい」と言いたかったのだろうと思う。






 
 
 

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