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執筆者の写真橋元雄二

『良寛の親友・解良叔問の家での騒動』

更新日:2023年2月6日




智海という狂僧がいた。うぬぼれが高じて気が変になり、「衆生を救うために俺が新しい

一宗を開いてやる」などと、たいそうなことを言っていた。自分をいにしえの高僧に

なぞらえ、今の僧達を赤子のように見下し、人々から尊敬されている良寛の事を妬んで

いた。ある日のことその智海が田植えをしていたと見えて、泥まみれになって私の家に

やって来た。ひどく酔っていた。ちょうど良寛もおられ、良寛を見るや否や、日ごろの

妬み恨みが爆発した。一言も口をきかず田植えで濡れた帯で、いきなり良寛を叩こうと

した.不意打ちだった。良寛は何が何だか分けがわからない。しかし、身を避けようと

もしない。傍で見ていたが、驚いて智海を家の者が止めに入り、家から追い返した。

その場はそれで収まったが、日暮れになって、雨が激しく降り出した家を出ようとして

雨をみた良寛は、「あの坊主は雨具を持っていたのか」と、穏やかに家の者に尋ね、よけい

なことは一切何も言われなかった。「許せなければ相手にしない」の2022年1月15日の

ブログ記事にも書いたがその通りに貫いた良寛の姿勢には納得がいく。


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