良寛はお灸やあんまが上手でした。体調の悪い人からお願いされると、喜んでしてあげたと言います。ある日も知り合いから「具合が悪いので、お灸をすえてやってもらえないか」と頼まれました。良寛は早速、知り合いの家を訪ね、お灸をすえてあげました。するとその相手は「明日も又家に来て、お灸をしてもらえませんか」と頼んできました。しかし良寛は、「明日のことはお約束できません」と断って帰って行きました。良寛は冷たい心で明日のことを承諾しなかったのではありません。意地悪で言ったのでもありません。「明日も来ます、と約束しても、急用が入って行けなくなるかも知れない。自分の体調が悪るければ行きたくても行けなくなるかも知れない。だから安易な約束はしない」と考えたのです。つまり、冒頭の言葉は、「安請け合いをして、もし約束を果たせなかったら、相手に迷惑をかけるし,自分も信用を失うことになる。だから、できるかどうかわからないことを安請け合いしないほうがいい」という意味を表していると思います。やさしい性格の人、相手を喜ばすのが好きな人ほど、出来るかどうかわからない事を、その場の勢いで安請け合いするケースが多いようです。請合ったことを実行、出来ればいいのですが、できない場合は大きな悩みを抱えることになります。安易な約束は、かえって相手に迷惑をかけてしまう場合もある事を知っておくほうがいいと思います。
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