「新池や蛙飛び込む音はなし」

寛永２１年（１６９４年）に没した芭蕉に、遅れること６４年後の宝暦８年（１７５８年）に生まれた良寛。この句は、一人住まいをしていた国上山（くがみやま）の五合庵に、小さな池を作った時の作だそうである。 当時既に全国にその名前が知れ渡っていた有名な芭蕉の有名な代表句「古池や蛙飛び込む水の音」。この句は、芭蕉の深遠なる境涯を表しているそうだが、私の池は作ったばかりで蛙もいないし、まして飛び込む音などするべくもない。 当然知っていた芭蕉の俳句を茶化して作った良寛のこの句。単なるおふざけか、それとも何か特別な意図があったのだろうか。 実はこの句には松尾芭蕉が亡くなって以降に芭蕉を超える優れた俳人がまだこの時代に現れていないという皮肉の意味で良寛が詠んだ句であったようです。実際に良寛が池を作ったのかは定かではない。五合庵に行ったことはあるが池らしいものは見た事はなかった。