「濃茶の作法」
- 橋元雄二
- 2021年5月8日
- 読了時間: 1分
更新日:2021年5月29日

ある日のこと、良寛は茶会に招かれた。数名の連客で一碗の茶を飲む濃茶の席であった。良寛は、作法を知らないのかわざとなのか定かではないが、自分の席に来た茶碗の中身をグッと飲み干してしまった。しかし隣には次の客が控えていた。そこで困った良寛は、口の中にあった濃茶を茶碗の中へ吐き戻し、それを次席に渡した。その茶碗を受けた客は仕方なく、「ナムアミダブツ」と念仏を唱えてから、その濃茶を飲んだという逸話が残っている。ただ言えることは良寛は形にはまることを大変嫌った人だったので茶会の作法も覚えようともしなかったのかも知れない。現に何処の家に行っても上座・下座さえもまったく気にせずにどこにでも坐った人であった。
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