『ご馳走されても字は書かぬ』
- 橋元雄二
- 2023年2月23日
- 読了時間: 1分
更新日:2023年8月3日

「人が良寛さん、良寛さんと言うのに、実家(弟の由之)にもないのは惜しいから、何か書いてもらいたい。ついては、家でご馳走するので、貞心尼(良寛の弟子)さんも一緒に来て、良寛に書いてくれるよう勧めてくれ」と頼み、良寛と貞心尼の二人を招待した。ご馳走が終わると、主人の由之)毛氈を敷いて、紙を出してきて「なにか書いて下さい。」と頼んだ。ところが良寛はふっと立ち上がり部屋から出て行った、皆は便所にでも行ったのだろうと思い、しばらく待っていたが、いつまでたっても帰ってこない。実は良寛はさっさと庵に帰っていた。貞心尼も後を追って庵に戻り「ああやって折角ご馳走をして、良寛様に何か書いて下さいと頼んでいるのに、良寛様も何か書いておやりになればいいでしょうに」と言うと、「わしは招待されたから行ったままで、御膳が済めばもう用はない。だから帰っ来たのだ。ご馳走を食べれば書かなくてはならぬのであれば、お前(貞心尼)何か書いて来れば良かったのではないか」と言ったという。
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