『柿の実』
- 橋元雄二

- 2025年12月27日
- 読了時間: 1分

ある秋の日、良寛がいい気持ちで田舎道を歩いていると、頭の上で子供の泣く声がした。見ると小さい子供が,柿の実を取ろうとし木に登ったが、手が届かない。しかも降りるに降りられないので泣き出したのだった。良寛は気の毒になって、子供を降ろしてやったが、「よし今度はわしが代わって取ってあげよう」と木に登った。そして、一つ食べてみると、とてもうまい。この瞬間に、下の子の事を忘れてしまった。良寛はもう一つ食べた。うまいのでまた一つ食べた。下では子供が、「今くれるか、今くれるか」と待つていたが、このありさまを見ると、悲しくなって泣き出した。良寛は、びっくりして下を見た。「ほいしまった」あわてて柿の枝をゆさぶり、柿の実を落としてやった。このように良寛は夢中になると大事なことを忘れてしまう人だった。






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