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「人それぞれ違う魔境が見える」

  • 執筆者の写真: 橋元雄二
    橋元雄二
  • 2020年1月13日
  • 読了時間: 2分

更新日:2020年1月15日








一週間の座禅会に出た方の話である。Mさんは役所に勤めているまじめな方であり、座禅をしていた

呼吸に集中して、静かで安らかな座禅をしていると隣のMさんが「出てきた、出てきた。」とささやくように言う。いったい何が出てくるのか?休みの時廊下に坐っていたMさんに尋ねた。「いったい何が出てくるのですか」「それがね。とても、不思議でわからないんだが・・・・・・・」Mさんが話した魔境はこうだ。座禅をしていると、女性がすーっと現れてくる。それも、平安時代の女性で、まず、大きな笠をとって、にっこりとほほえんでから、一枚一枚着物をぬいでいく。そのうち、すっかり裸になって、くるりと背中を向けて、歩き去る・・・・・・・。Mさんは言う「私はいままで、まじめ一本で生活してきた。みだらな女性関係などひとつもないのに、どうして、毎回座禅をくむと、こういう見てはいけないものばかり、いつも見るんでしょうね」まじめなMさんはいかにも、自分がとても悪いことでもしたようにうなだれていた。一週間の座禅が終わって、老師も一緒になってなごやかな会になった時に、Mさんは自分が見た魔境の話を老師に話した。「老師わたしは、どうしてこのような魔境を見るのですか?」老師はひざを叩いて、笑った。「ああそうかお前さんは、そんな魔境を見たのか。それはな、お前さんが、それが好きなんだ。アッハッハ・・・・・」老師は「魔境とはちょっと長い座禅をくんでいる時そんな体験をするものだ、夜に夢をみるようなものでそれを座禅の際に魔境を見たときは,本人の悟りを迷わせ、やかましいことになるので、ぽかーんと口を大きく開いて、上を見て二、三回すれば消えるよ。とにかく、そんなことを大事にするのは、大いに危険で、すごく害があると、しっかりと、胸にきざんで、ゆうぜんとすわるように・・・・・・・・・・・」と言われた。

※ 魔境とは、禅の修行者が中途半端に能力を覚醒した際に陥りやすい状態で、意識の拡張により自我が肥大し精神バランスを崩した状態のことを指す


 
 
 

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