放蕩息子に涙の意見
- 橋元雄二
- 2020年1月7日
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良寛の生家の橘屋山本家は良寛が出家したので弟の由之が家督を継いでいた。その由之には馬之助という総領息子がいたが放蕩をして困っていた。ある日馬之助の母から「息子に意見してくれ」と頼まれ橘屋に出かけて行った。良寛は三日も宿泊したが、別に何も言わなかった。そして五合庵に帰る日、玄関に立った良寛は、馬之助を呼んで,「草履の紐を結んでくれ」と頼んだ。馬之助の母は
今日こそは何か意見してくれるだろうと思い,衝立の後ろに立って見ていた。馬之助は今日に限って妙なことを頼まれると思ったが、言われるままに紐を結んでいた。すると、襟元の首筋に冷たいものが落ちた。驚いて見上げてみると、良寛の目から涙が流れていた。それを見た瞬間、馬之助は、自分の放蕩を後悔した。良寛は、さっと身を起こすと、また何も言わずに帰っていった。
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