良寛の妹、むら子が嫁いだ寺泊の外山家に托鉢に行った時のこと。同家の主人も良寛の書を
欲しがっていたが、まだ果たせずにいた。ちょうど雨が降っていたので、「よそへ托鉢も出来まい、今日こそは念願の書を」と考え、座敷に通して、いろいろともてなした。
その後、筆と硯、そして白扇一箱を用意し、四方の戸を閉ざし、「書かなければ、外には出しませぬ」と言う。良寛は仕方なく筆を執り、一箱の白扇すべてに、「雨の降る日は哀れなり良寛坊」と書いたという。この扇面は今に遺る。この頃はすでに良寛の書は偽物の書が出回るほど人気があり、良寛の書を欲しがる者がたくさんいたそうであるが、良寛は、よほどの事がなければ書かなったそうであるが部屋に閉じ込められるようなことはあったようです。
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