『良寛が香典帳に残した一句』
- 橋元雄二
- 4月7日
- 読了時間: 1分

良寛も年を取りだんだん体も弱り杖を突くようになった。ある日良寛は、三島郡竹の森の星彦右衛門の家を訪ねた。夕食の後、彦右衛門は一緒に隣人の家の風呂をもらいに行った。そして風呂から帰ってくると、良寛は上り口に立てかけていた杖を取って、すぐに帰って行こうとした。それを見た彦右衛門の子供が、『良寛様それはうちの杖だよ」と呼び止めると良寛は、「これはわしの杖だよと言ってそのまま出て行った。しかし、しばらくすると「杖を取り違えた」と、戻って来て、またすぐに帰ろうとした。家の者は、「良寛様夜も遅いので、お泊り下さい」としきりに止め、「今夜こそ何か書いてください」と頼んだ。しかし、あいにく紙の用意がなかったので、彦右衛門は庄屋まで紙を借りに行った。彦右衛門が出かけた後、良寛があたりを見回すと囲炉裏の上に古ぼけた香典帳があった、良寛はそれを取り、(老いが身の哀れを誰に語らまし杖を忘れて帰る夕ぐれ)と書いて早々帰って行ってしまったそうだ。長居をするともっと書を書いてほしいと言われるので帰ったんだと思う.
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