『グチは言わないと決める』
- 橋元雄二
- 2023年11月5日
- 読了時間: 1分
更新日:4月10日

寺を持たず何の収入もない良寛は、托鉢によって生きる糧を得ていました。
ある日、良寛はいつものように托鉢に出ましたが、何一つ施しを得ることが
できませんでした。日が暮れてきて、そろそろ帰らなければなりません。
その時の情景を語った「托鉢に出ましたが、何も得られませんでした.空の
鉢を抱えて帰る途中、木の葉が散り、空を鳥が飛んで行き、林に靄がかか
るのを見ました。」この言葉の中で感心するのは、良寛が何一つ文句やグチを
い言っていない点です。苦労して歩き回つても何の成果も成果もなかったの
です。普通なら「ケチ連中ばかりだ」とか「もうやってられない」と文句や
グチを言いたくなるでしょう。しかし良寛は、その場の自然の情景を淡々と語
るのみです。文句やグチはいっさい言いません。それどころか、空腹や不安すら
言葉にしていないのです。ここに良寛の人生観があるのではないでしょうか「文句やグチ
を言っても、何も解決しない。自分自身がみじめになっていくばかりだ。悲しい
出来事を悲しいと嘆くのではなく、そのまま事実として素直に受け入れてしまおう。
そうするほうが心は楽になる」それが良寛の人生観であった気がする。
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